コラム15 センター試験

先週末、全国の大学でセンター入試があった。6教科28科目で行われたこのテストの初日の2コマ目に行われたのが「地歴」で、その中に地理Aと地理Bという二つの選択科目がある。毎年読図に関する問題が出されるのが通例であり、試験監督の暇つぶしとして楽しみにしている。

 

今年は地理AB、いずれにも地形図を使った読図問題が出された。地理Aの問題は京都市街地周辺部の新旧の地形図を比較して、土地利用の変化や分布図との関係を答える問題、地理Bは函館の地形図に対して正しい断面図や土地利用の特徴を答える問題である。

 

地理Aの土地利用の変化についての問題は、比較的直接的なつまらない問題だが、分布図の問題は、示された3つの分布図がそれぞれ、「大学生・大学院生」「6階建て以上の共同住宅に住む世帯数」「製造業事業所従事者」のどれに相当するかを問うものであった。地図に明示的に示される土地利用からその土地の様子をイメージすることを要求するこの問題は、いわば地図の行間を読み、それとある属性の分布との関係を考えるという、地理的考え方を問う問題といえる。それに対して地理Bの函館の問題は、全体的に明示的表現からほぼ判断がつく問いで、今一つ面白みに欠けた。

 

いずれの問題においても不満なのは、せっかく地形図を取り上げながら断面図から高低を判断するという以外に等高線を読む問いがなかった点である。地図は言語、数字と並ぶ代表的な記号体系であり、その中でも等高線はもっとも独創的かつ巧妙な記号である。確かに高校生から見れば等高線は「訳も分からず難しいもの」なのだろうが、それにしても残念な気がした。

 

そう思っていたら、今日の「理科総合B」に地形図が出て、2地点間の高度差を求める問題が出題されていた。その次の問も、やや地形や方向についてのセンスを問われる問題で、むしろ地理的といってもいいような問題だった。「あ、この山は火山だな」なんて、「地図の行間」を読んでしまったが、出題には全く関係なかった。

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