MNOPに地図解説の本紹介を書くにあたって、アマゾン.コムで「地図」というキーワードで検索した。案の定6520件という大量のヒットがあったが、売れ行き順でトップだったのは、「心に『人生の地図』を持つ」という副題を持つ本だった。上位の「地図」は似たような本が多く、実際に地図を扱った本は、ようやく8位に「カシミール3D入門―山と風景を楽しむ地図ナビゲータ」、9位に「震災時帰宅支援マップ 首都圏版 総図」となっている。同じようにナビゲーションで検索すると、やはり上位は実際のナヴィゲーションではなく、「バイオハザード4 クリアナビゲーションブック」というゲームの攻略本、2位は「「魂の目的」ソウルナビゲーション―あなたは何をするために生まれてきたのか」であった。「指南書」といった文脈でナヴィゲーションという言葉が使われることは多いようである。
本のタイトルに限らず、「地図」とか「ナヴィゲーション」は、目標に向かう人間の行動やそのための情報源に対する比ゆ的表現として使われることが多い。認知心理学の研究でも、問題を解く過程の全体像を「問題解決空間」といったり、あるものや場所に対する知識の全体像を「認知地図」と読んだりする。目標達成と目的地への動は、ある意味に多様な知的活動なのだろう。
そういえば紅白でTokioが歌っていた「明日を目指して」でも、冒頭に「地図を手に♪」というフレーズが出てくる。進研ゼミのキャンペーンソングと聞いて納得したが、いい歌だ。オリエンテーリングのテーマソングにしたいくらいである。
さすがに「読図」というキーワードだと「山岳地形と読図 ヤマケイ・テクニカルブック 登山技術全書」(平塚昌人著、山と渓谷社刊)が最上位でヒットする。ややマニアックな印象と内容であるが、これも読図とナヴィゲーション技術を身につけたい人にはよい本である。