コラム30 ブラックアウト再び

10月に開催される山岳耐久レースの試走をする友人につきあって、奥多摩駅から大多和峠に登り、大岳山ー御岳ー日の出山経由で武蔵五日市まで夜のトレイルランニングをした。13時スタートで70km余を走るこのレースでは、後半に当たるこの区間は夜の中を走ることになるのだ。道標はほぼ完備されたハイキング道なので、ナヴィゲーションの必要はないのだが、自分自身のトレーニングのため、手に地図とハンディコンパスを持って走った。

 

今回、何より厳しかったのは、霧が出ていたことだ。これまで何度かナイトナヴィゲーションの経験はあるが、霧の中は初めてだった。霧の中ではヘッドランプの光が霧で乱反射してしまい、目の上から前方に向けて光りの筋が見えるが、その分地面がほとんど見えない。進んでいる方向が道なのかという判断さえできないことがしばしばだった。

 

もちろん、地形の全体像は見えないから、頼れるのは、自分が周囲より高い場所にいる、つまりは尾根の上にいるということ、そして進行方向だった。大多和峠から大岳山までは尾根はほぼ南東方向に向いているので、時々それをコンパスで確認して、進路からはずれていないことをチェックする。もちろん、そんな限られた情報で居場所や進路に100%の確信を持つことはできない。その不安は、「この方向の尾根は正しい進路に限られる」という厚みのある地図読みに支えられた論理によってねじ伏せるのだ。

 

夜の移動はナヴィゲーションとしては確かに特殊なものだ。だが、その特殊性の故にナヴィゲーションの普遍的な方法論を浮き彫りにしてくれるのだ。

 

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