コラム36 読図・ナヴィゲーションへの関心

本年度から、文部科学省登山研修所の専門調査委員になった。年1回、委員会が開かれ、当該年度の事業の報告と次年度の計画予定が示される。その資料が最近送られてきた。まあ、委員といっても、提示された資料に当たり障りのない意見を言うくらいで、権限がある訳ではないのだが。

 

資料によると、同所は年間10回の研修事業を主催している。その対象は大学生リーダーから社会人、指導者にまで及ぶ。昨年までの状況がよく分からないが、記述を見ると、今年の事業内容の特色の一つが読図やナヴィゲーション技術についての研修を大幅に取り入れたことらしい。

 

5月に行なわれた同所の指導員向けの研修や8月の大学生リーダー研修では、私が読図・ナヴィゲーション部門の講師を務めたことは既に報告したが、とりわけ5月の研修を受けた指導員が、その後の研修で指導に当たる際に、読図やナヴィゲーションを積極的に取り入れたということが報告されていた。また、集団登山の指導者研修においても、読図にも力点を行なった講習を行ない、受講生からも好評であったという。

 

「読図に関する指導方法は登山の世界では未成熟な分野であり」という記載もある。どんな山の本にも地図・コンパスを携行して、しっかり使えと書いてあるが、ではそれをどう使うか、あるいはどんな順序で指導するかという点では、確かに確立した教則はない。同所の指導員たちが、ロープの結び方について飽くなき議論を続けているのと比べれば、読図の指導方法については議論と工夫の余地はいくらでもあるだろう。

 

登山研修所という、我が国の登山技術の総元締めで読図やナヴィゲーションへの関心が高まったことを喜びつつ、今後の指導法確立や普及の一助となりたいと思った。

 

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