学力低下などが問題視される日本の学校教育だが、諸外国と比較しても授業の質は高いという。サッチャー政権時に取り入れられたイギリスのナショナルカリキュラムは、日本の学習指導要領に範をとったものだと言われるし、学校で教員同士で行なわれる研究授業も、日本の授業の質を向上させるのに大きく貢献したと言われている。研究授業は、普段は見ることはできない他の教員の授業をみるよいチャンスだし、それによって自分では気づかないでいた自分のくせや改善のポイントを自ら発見する機会となる。
読図やナヴィゲーションへの関心が高まり、自分自身の指導する場面が増えると同時に、周囲にいる仲間たちもそのような活動に従事するチャンスが増えた今、もう一度自分の指導を振り返り、また他者の指導場面を見ることで読図とナヴィゲーションの指導をブラッシュアップしたいという思いが高まり、ブラッシュアップのための研修会を行なった。
場所は、普段から指導や取材に利用している奥武蔵。活動をともにするチーム阿闍梨のメンバーの他にも、このような活動に興味・関心を持っている外部のメンバー4名が加わった。中には大阪から参加した人もいて、その熱意だけでも刺激を受ける。
全長5kmのハイキング道を分担し、それぞれの場所で実際に指導していることを想定し、一種の「模擬授業」を行なった。個性があるのはもちろん、日頃から指導を行なっている人が多いだけに、その背後に様々な読図や道具の使い方に対する考え方の違いがあるのが興味深い。
今回は、あえて論争になるような内容は扱わなかったが、コンパスをどう使うのか。初歩の使い方である整置をどう扱うのかといった点一つとっても、回答は出ていない。それをああでもないこうでもないといいながら議論するのも楽しそうだ。