コラム79 できる人は地図思考

今回の表題は、だいぶ前に出された本のタイトル(出版は日経BP)だが、再度ぱらぱらとめくってみて、驚くほど地図やナヴィゲーションに対する評価が高いことにびっくりして紹介することにした。

 

著者の吉田たかよし氏は、医師であり、元NHKアナウンサー、また衆議院議員の公設第1秘書も務めた経歴を持つ。その彼が成功の秘訣として指摘するのが、地図的な思考である。頭に地図を描くことで、新しい発想が生まれたり、ブレークスルーを見つけだしたり、暗記中心の勉強法に革命を起こすことができるというのが内容の骨子だ。近年これは、「空間的思考」というテーマで地理学や認知心理学の研究テーマにもなっているので、彼の思いこみという訳でもない。

 

ナヴィゲーションという視点から興味深かったのは、NHKの新人アナウンサーの最初の研修が、仮想の地図上の道のりを言葉にしてパートナーに伝えるものらしい。簡単そうに見えて実は意外に難しい。僕も、まだ携帯電話が普及しなかったころ、一人にオリエンテーリングのコース地図を持たせ、もう一人にはコンパスだけを持たせ、トランシーバーを使って遠隔操作のようにして、コンパスだけでコースを回るというゲームをやったことがある。この場合は実際に移動するという要因が加わるので、地図を言語化し、その限られた情報と現地とを対応させて、間違いなくポイントを目指すというさらに複雑な課題が加わる。自分の情報処理能力を試す格好のトレーニング材料であり、僕たちで開発した研修でも利用している。今なら携帯電話を使えば、誰でも経験できる。

 

地図思考の実践トレーニングとしては、「オリエンテーリングが最適だ」とさえある。もちろん、忙しいビジネスマンには「街角オリエンテーリング」でもよいとフォロー。

 

地図的な考え方や地図を使うメリットを再認識させてくれた。

 

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