コラム91 研修の楽しみ

今年も朝霧野外活動センターで、ナヴィゲーションとリスクマネジメントをテーマとする野外活動指導者研修会を実施した。研修会の名称は地味だが、二つのテーマはいずれも現代の野外活動、いや社会のキーワードになりえる。実際参加者も野外活動指導者から、コアなアウトドア活動者まで、バラエティーに富んでいた。研修を準備、実施していて発見したことが二つあった。

 

一つは、ナヴィゲーションは、アウトドアに必要なハードスキルとソフトスキルを媒介する位置にあるスキルだと、研修を準備していて再認識したこと。ハードスキルとは具体的な物を対象としたスキルで、生活技術と言い換えることができる。一方ソフトスキルは、コミュニケーションや考え方など、まさに「ソフトな」スキルである。地図やコンパスの使い方を覚えなければならないという意味で、ナヴィゲーションはハードスキルだ。特にコンパスの基本はハードスキルそのものだ。一方で、ナヴィゲーションは用具についての知識・スキルだけで可能になる訳ではない。計画→ルート維持→現在地の把握と整理された形で地図やコンパスの情報を使うこと、その場に応じて重要な情報に着目すること、さらには論理的に考えて情報の不十分さを補うこと。いずれもソフトなスキルだ。ナヴィゲーションがソフトとハードの中間に位置するのは、それが地図とコンパスという情報を使うからだろう。そう考えると、野外活動におけるナヴィゲーションの重要性を再認識できる。

 

もう一つの発見は屋外実技の振り返り時に得られた。二日目は、朝から屋外で読図やナヴィゲーションスキルの実習を行った。僕の班は前の晩から迷った末、標高で約150m差あるピークに登ることにした。それ自体は読図講習としては退屈で辛い行程だが、登れば、幾重にも分岐する尾根下りが待っている。視界は適度で、通行可能度は悪くないはず。登山を行っている人や野外活動指導者が多い僕の班は、他の時間を犠牲にしてもそれをする価値があるはず。

 

確かにのぼりは辛かったし、午後の時間に30分以上ずれ込んだが、それに見合うご褒美はあった。尾根の下りでは、その難しさや、それでも等高線を丁寧に読めばそれがクリアできることを、参加者は実感してくれた。何より、普通の女の子然とした若い女性指導者が、「(等高線が)私分かるかも!」と楽しそうにしていたのが、僕にとってはご褒美だった。

 

振り替り時には、もっと興味深いことが起こった。振り返りでは、昼間の実習を踏まえて、自分たちで与えられたルートで読図講習を計画した。僕が担当した3班の3グループと、このグループについたセンターのスタッフのグループは、ことごとく、必然性もない山に登って下るルートを講習計画に入れた。普段読図講習を受けている訳ではない彼らにとって、読図講習とは、ピークに登って尾根に下るもの、そういう刷り込みがあったのかもしれない。子どもや親に似るんですよ、とセンターのスタッフに言われて、こそばゆい感じがした。それは、山に登ったことが楽しかったことの証でもあるのだろう

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