コラム90 ナヴィゲーターの難しさ

ロゲイニングの世界選手権でチェコを訪れた。交通不便な場所なので、移動は全てレンタカーで行った。初めての外国だって、地図があれば迷うことはない。もっともいくら地図読みに長けていても、運転中に地図を読むことはできないから、助手席のTさんに地図読みを任せる。

 

ロゲイニングのパートナーであり、オリエンテーリングでも日本代表にもなる実績の女性だが、どうもうまくかみ合わない。街に入る時には、チェコ全体が出ている小縮尺の地図から、街の大縮尺の地図に切り替える。彼女はそれがうまくできなくて、しばらくどこにいるか分からない状態になった。そうであることを伝えてくれないので、自分の居場所もよくわからない状態で無駄に走ることになる。また、この先の概略を伝えてくれない。地図を読んでいる彼女にとっては自明に思える方向も、こちらは全く情報がないので、不安になる。2000年ごろベストセラーになった「地図が読めない女、話が聞けない男」で、助手席でナヴィゲーターをする妻と夫婦げんかになるシーンが描写されている。まさにこんな雰囲気なのだろう。

 

冷静に分析してみると、この体験は、地図の読み方について、いくつもの示唆を与えてくれる。第一に、自分がどこにいるかを把握していないと、地図の情報もうまく使えないということだ。第二に、今自分がいる場所の情報とともに、この先どのようになるかを知っておくことが、不安なくナヴィゲーションをする上では欠かせないということだ。

 

地図から読み取った情報を人に伝えてナヴィゲーションしてもらうと、自分のナヴィゲーションの癖や地図読み取り上の課題を明確にできる。運転技術をブラッシュアップさせるコメンタリードライブという方法がある。これは運転中見ているものやそれに基づく判断を言語化(コメンタリー)しながら運転することで、自分の癖を知り、運転(特に着目点や判断)を改善することができるというものである。助手席でのナヴィゲーター役も、ある意味コメンタリードライビングに近い。

 

道案内も助手席のナヴィゲーター役も、一種の地図情報の伝達と考えることができる。ナヴィゲーションのための情報を人に伝え、実際に不安なくその道を歩けるかどうかを確認してもらうことは、地図から自分が適切な情報を読み取れているかのよい確認になる。Mnop登録スタッフの小泉君は、これを応用して、コミュニケーションを振り返る研修に活用している。その成果は、7月に放送されたNHKの朝イチで取り上げられている。

 

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