コラム123:太陽が西から上がって東に向かう?

 太陽が西から上がって東に向かっているような気がしてならない。先日、ロゲイニングの世界選手権でオーストラリアにいった時に感じたことだ。だいぶ前にオリエンテーリングの現役選手だった時に南半球にいった時もそんな感じがしていたことを思い出した。もちろん、南半球でも地球の自転の方向は変わらないから、太陽は東から出て西に沈むはず。どうしてそんなふうに思ってしまったのだろう。

 

 考えてみて気づいたのは、太陽が正午に北を通るということだ。赤道より南にある南半球では、太陽は正午に南中ではなく北中する。だから日当たり良好なのは北向きの部屋なのである。だが、北半球の生活に慣れた頭が、無意識のうちに太陽が昼間に通るところを南と位置づける。それを基準にして他の方角を割り当てるから、東が西に、西が東に思えてしまうのだろう。考えないと気づかないくらいだから、「昼に太陽があるのが南」というのは相当強力な枠組みである。しかも、自分で太陽の方向を確認して方角を意識しているつもりもまったくないから、無意識のうちに南の決定とそれによる他の方角の割り当てが行われている。

 

 他の人が同じように感じてしまうかどうかは知らないが、これはおそらく私が方向感覚がいい故の副作用なのだろう。方向感覚がよいとは、方向に関する情報を処理し、それによって場所が変わったり、向いている向きが変わっても方向を適切に見極める能力だから、それは無意識の処理に多くを負っているはずだ。その結果が、獲得した枠組みとは違う場所で有効ではないのに無意識に使われるために、奇妙な感覚に見舞われるのだろう。

 

 今回のロゲイニングで会場となったキャンプ場は南にゴルジュが抜けているが、そのゴルジュは今以て、キャンプ場から北に向かっているような気がしてならない。そしてスタート後はその反対に向かったのだから、北に向かったのだが、今でも頭の中では南に向かったように記憶している。大会の前日に泊まった街も南からアクセスしたのだが、気持ちの中では逆向きになっていた。地図もなしに街で買い物に歩いた時には、頭の中の方向感覚と実際の方向が干渉して、あやうく反対方向に進むところだった。

 

 南半球で暮らす人は日本に来たらどんな感覚になるのだろう。聞いてみたいものだ。

 

 

ロゲイニング世界選手権。スタート後北に走り出す人たち。影が後ろに伸びているので、北半球の「常識」では南向きのはずなのだが。

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