【M-nop letter+】2023年7月号

■ご挨拶■

6月~7月上旬はナヴィゲーションスキル検定(日本オリエンテーリング協会主催)、講師研修会(国立登山研修所)のお手伝いをしてきました。

ナヴィゲーションスキル検定は村越の研究活動である「登山の安全」に関する国の研究助成をいただき、調査・研究を行っていた成果を元に、日本オリエンテーリング協会が制度作りの実装を行ったものです。現在指導者が60名強誕生した他、ブロンズ、シルバー、ゴールドの3段階でスキル認定を行っています。特に中上級レベルに相当するシルバー・ゴールドでは熱心なアウトドア活動者が挑戦し、時に悔しい思いをし、時に自分の実力向上に達成感を感じている姿が印象的です。私たちにとっても、培ってきた技量を提供し、社会に貢献するよい機会になっていると感じます。ナヴィゲーションスキル検定制度については、「https://www.orienteering.or.jp/ni/」をご覧ください。

この制度で活用しているナヴィゲーションスタンダードを元に、日本山岳スポーツクライミング協会(JMSCA)では、この夏「JIMSCAポケットガイド・ナヴィゲーション」を作成しました。内容については当法人理事長村越が全面的にバックアップしました。発行は7月下旬の予定ですので、会員の皆様にはご提供します。

国立登山研修所は、昭和38年の豪雪による冬山の遭難多発や当時の登山大衆化を受けて、旧文部省が設立した日本の登山におけるナショナルトレーニングセンターとも言うべき研修所です。村越は2004年より同研修所で講師を務め、ナヴィゲーション技術のスタンダード化と国内トップ登山家への講師研修、その後、専門家向けのリスクマネジメント研修を提供してきました。今回は、同研修所講師の更なる指導技術の向上に向けての講習を担当しました。

■現在・今後の活動■

当法人は、ナヴィゲーションスポーツの普及やアウトドアの安全のために、イベント、講習会の開催や大会への技術サポートを行っています。本年度は、具体的には以下の行事を開催、協力していきます。

 

【主催事業】

  • 有度山トレイル三昧:トレイルランニング(静岡市清水区、2024年1月27日)
  • 有度山トレイル三昧:ロゲイニング(静岡市駿河区、2024年1月28日)
  • 静岡大学と共催での公開講座(12月9日中級編)

【協力】

  • 初めてのナヴィゲーション(県立朝霧野外活動センター主催)(9月9-10日)
  • OMM(安全管理)11月11-12日
  • 丸子アルプストレラン大会(2024年2月)
  • オリエンテーリングin朝霧(11月25-26日)

 

このうち、以下の3イベントではお手伝いいただけるスタッフの方を募集しています。

  1. 有度山トレイル三昧
  2. 初めてのナヴィゲーション(朝霧野外活動センター主催)
  3. オリエンテーリングin朝霧(朝霧野外活動センター主催)

「1」は特にスキル・知識は問いません。

「2」はベースプレートコンパスを使った直進の指導が出来る方

「3」は、ロゲイニング参加経験がある方を募集しています。

■最近の活動から■

【有度山ロゲイニング 取材】

いつもより早く、有度山ロゲイニングのポイント取材をスタートしました。昨年度、防災ロゲイニングを行った駿河区川原地区のご尽力で、静岡市川原小学校を会場として実施できる運びとなりました。同小学校は安倍川の河口近くに位置し、これまでから大きく西に移った安倍川の西岸がロゲイニングの舞台になります。

 

今でこそ、「川向こう」などと言われ、静岡市中心部から離れた場所にある安倍川西岸ですが、戦国時代までは暴れ川安倍川の扇状地として人が住みにくかった現在の静岡市街地に比べ、山裾の居住しやすい地域で、中世以前の多くの史跡や歴史的名所が残されています。

 

例えば、東名高速の日本坂トンネルで有名な日本坂峠は、日本武尊に因んだ地名です。武尊が東征した折に通過したとされ、東側の麓には武尊が館を築いたとされる場所が残されています。その辺りから、山裾に沿って古代東海道が通っていたとされ「万葉の道」と名付けられています。

 

平安以後はこの付近の山越えは宇津ノ谷峠に移りました。この峠を一躍有名にしたのは、在原業平。高校古文の定番「伊勢物語」の東下りの段で、「行き行きて駿河の国に至りぬ。宇津の山に至りて、わが入らむとする道は、いと暗う細きに」と詠われたのが静岡と藤枝の境にある宇津ノ谷峠なのです。業平はこの峠で「駿河なる宇津の山べのうつつにも 夢にも人にあはぬなりけり」という著名な和歌を詠んでいます。「宇津」と「うつつ(現実)」の掛詞の技巧と恋しい人に向けた率直な叙情が印象的な名歌です。この道は「蔦の細道」として整備されています。

 

蔦の細道から羽柴秀吉が開いた宇津ノ谷峠、その後、明治、大正、昭和、そして平成の4本のトンネル全てが通行可能な状態で現存していることから、道のオープンミュージアムとして日本遺産にも登録されています。峠近くの宇津ノ谷集落も昔ながらの宿場町の風情が残されています(丸子と岡部の間の宿)。有度山ロゲイニングの際に、訪れてみてはいかがですか?

NPO法人Map, Navigation and Orienteering Promotion

 オリエンテーリング世界選手権の日本代表経験者、アウトドア関係者らが、アウトドア活動に欠かせない地図・ナヴィゲーション技術の普及、アウトドアの安全のために設立したNPO法人です。

活動をサポートして下さる方を募集しています

2015年3月のシンポジウムのプログラムと村越の発表資料を掲載しております。

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