まだ暑い日がありますが、ようやくアウトドア活動が本格化する季節がやってきました。前号で紹介した、初めてのナヴィゲーションは、今年も1.5倍の抽選を勝ち抜いた親子約40組が、朝霧の自然とナヴィゲーションを楽しみました。
今後の活動でも紹介しているShin Murakoshi: 50 years with Orienteeringも、イベント、オンライントークともにスタートしました。初回は、私の競技者としての50年(実際にトップ競技者だったのは、25年ほどですが)を、日本におけるオリエンテーリングの発展とシンクロしながら振り返りました。オンライントークは、YouTubeでもアーカイブ公開しています。
年度後半になると、オリエンテーリングin朝霧や有度山トレイル三昧のような、本法人の主たるイベントが目白押しになります。イベントをできるだけ多くの方に楽しんでいただくことはもちろんですが、その中でもナヴィゲーションや読図のスキルを高める楽しさ、リスクを考える興味深さなど、本法人ならではイベント価値を高めていきたいと考えています。会員の皆様のイベント参加、協力をお待ちしています。
当法人は、ナヴィゲーションスポーツの普及やアウトドアの安全のために、イベント、講習会の開催や大会への技術サポートを行っています。本年度は、具体的には以下の行事を開催、協力していきます。また、村越が関係する他団体の行事も掲載しました。
下記のうち、①有度山トレイル三昧、④ナヴィゲーション・フェスタ、⑤オリエンテーリングin朝霧(朝霧野外活動センター主催)ではお手伝いいただけるスタッフの方を募集しています。
①は特にスキル・知識は問いません。④⑤ではオリエンテーリング経験のある方を募集しています。
また、お手伝いではなく、運営や指導の勉強をしたい方も実費での参加を歓迎するイベントもあります。お問い合わせください。
【主催事業】
【他団体による主催(協力・村越の講師参加等)】
約3年半ぶりに、9月30日に古地図を使ったナヴィゲーションイベントをShin Murakoshi: 50 years with Orienteeringの一環で実施しました。村越が思春期を過ごした東京都東久留米市周辺で、古地図を使ってナヴィゲーションするツアーでした。この場合、古地図とは明治初期に近代的な測量法で作成された迅速測図を指します。まだ江戸期の面影の残る関東平野の景観を余すところなく、しかも正確に記録した迅速測図のおかげで、私たちは当時の土地利用や農業の様子を知ることができますが、それだけでなく、この地図を使うことで、当時にタイムスリップする体験とナヴィゲーションの練習ができるという一石二鳥のイベントなのです。
現代とは違う古地図でのナヴィゲーション?それがナヴィゲーションの練習?2014年に初めてこのツアーを実施した時には、興味津々で集まった参加者も「?」の面持ちでスタートしました。
図の古地図と同じ場所の現代地図を見ていただければ分かるように、もちろん古地図には現在の建物も道路も描いてありません。土地の様子も当時の地図とはだいぶ異なっているでしょう。しかし、ニュータウンのような大規模造成地を除けば、意外なほどに地形が残っています。古い主要道も残っていること、さらにその線形から、新しく作られた道とは区別ができそうなことも分かります。こうした情報を駆使して古地図で現代の目的地に向かうのが古地図ナヴィゲーションなのです。
実際、現代でも自然の中のナヴィゲーションでは、道無き荒野を進むことがあります。道が描いてあっても、実際にはたどりにくくなっていたり、逆に獣道のように地図にない道に遭遇し、それを見抜くことも必要です。こうした環境の中で迷わず進む時には、距離や方向を正確に把握して進むとともに、プランニング、すなわち、目印になりそうな特徴を地図から選び、それを頼りに現在地を確定すること、決めた方向に進めなくても、それが致命的な道迷いにつながらないようなリスク管理も必要となります。古地図ナヴィゲーションとは、都会にいながら、これら全ての地図読みとナヴィゲーションテクニックを学ぶことができる場なのです。
おまけに都会なのでアクセスも容易。また「道迷い遭難」をしても、自販機もあればコンビニもあります。最小限のザックで走ることができ、安全上の懸念もありません。古地図から頭の中でイメージした明治/江戸期の郊外の風景がいつしか現実に融合し、舗装道路をずっと走ったにもかかわらず、「ああ、今日は一日トレランが楽しめた!」と思うこと請け合い。
古地図イベント、来年の3月と4月にも実施します。ブラタモリ的興味で、あるいはナヴィゲーションの習熟に、おいでください。