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※お知らせ※
2026年1月31日、2月1日に当法人フラッグシップインベント有度山トレイル三昧を予定しています。運営にご興味ございましたら是非お声掛けください。
詳細は「現在・今後の活動のご紹介 」からご覧いただけます。
<主催事業>
<他団体による主催(M-nop協力・村越の講師参加等)>
<村越が関わる国際イベント> new!!
歴史ある南欧には教科書級の史跡が数知れずあります。オリエンテーリングではなかなか訪れるチャンスのなかったこれらの史跡を、スペインでマスターズ選手権の後に訪れることにしました。南仏の城壁都市カルカッソンヌは都市計画を学んでいた学生のころ訪問。スペインの巡礼の道はさすがにボリュームがありすぎ。そうだ、世界史の教科書に出ていたポン・デュ・ガールに行こう!
ポン・デュ・ガールはフランス語でガール県の水道橋(すいどうきょう)。都市建設で名高いローマ人が植民地への水道供給のために作った橋です。ローマの水道橋は、すでに2019年の世界選手権の際にもスペインのタラゴナで見ていました。全長約200m、高さ27mのアーチ橋。技術力は感じたものの、それほどの感動はありませんでした。世界史の教科書に載るほど?
今回ポン・デュ・ガールを訪れてその疑問は撤回。台地の中腹を通るアクセス路から見上げる橋は、魂を揺さぶる荘厳さといって過言ではありません。高さ約50m、長さ275mでタラゴナの水道橋の倍近い高さがあります。実際、ルソーもこの橋を見て、人間の所産の偉大さに感動し、「私はどうしてローマ人に生まれなかったのだろう」と感嘆したと言われています。
水道橋があるということは、水路があり、当然ながら水源があるはずです。水源は果たしてどこにあるのだろう?橋のたもとにあるミュージアムショップにあった解説書の地図でその答えはすぐに見つかりました。
20kmほど北西に離れた場所で、その名もフォンテイン・ド・ウー。一方、供給先の都市は、昨日TGVを乗り換えたミームではありませんか!?南仏の中心的植民地であり、ミームの競技場は、ローマ以外の植民地の中ではもっとも保存状態のよい競技場だそうです。見ておけばよかった。
せっかくなのでフォンテイン・ド・ウーに行きました。ポン・デュ・ガールを訪れる観光客はフランス最多と言われていますが、源泉をみた観光客はそう多くはあるまい。現在も近隣都市の水源になっているため、湧水自体を見ることはできませんが、そこから流れ出す清冽な流れを確認できました。
湧水はここから約50kmの水路で山をうがち、ガルドン川を越えて都市へと運ばれたのです。差し詰め、井之頭池から水道橋(すいどうばし)を超えて江戸市中に運ばれた神田上水。2020年の武蔵野湧水巡り番外南仏版!
TGVを乗り継いで、さらに北イタリアに赴きました。目的地はカモニカ渓谷。これも地図学の教科書ならたいてい載っている世界最古の地図が目的地です。
こちらは1979年にイタリア初の世界遺産に指定され、登録時には約14万点の岩絵が見つかっており、70kmに及ぶ渓谷の中腹の岩盤の至るところに見られます。その多くは、人間や動物、狩猟や祭事の様子ですが、その中に紀元前1500年頃に描かれた明らかに地図と分かる岩絵があるのです。
訪れて分かりました。緩やかな傾斜が再び急傾斜になるU字谷の中腹にあるその岩盤からは、谷底の様子を手にとるように見ることができます。
この場に居たら、動物や人間ではなく空間を描いてみたい、私ならそう思います。ただし、地図の岩絵はこの他にそれらしいもの1点が知られるのみですから、動物や人間を描きたい思いと比べたら、地図づくりに情熱を燃やす人はそれほど多くないということなのでしょう。
南仏も北イタリアも、自分の文化的活動が歴史の流れの中の一コマであることを感じさせてくれる場所でした。