アウトドアシーズン到来です!10月はコーチ研修や香港への大会監査で出かけたため、オリエンテーリング活動はほとんどできませんでしたが、足・脚の故障もぼちぼちよくなり、11月4/5日には全日本大会で勝浦に出かけました。昔から複雑な地形で有名なこの場所のオリエンテーリングを堪能しました。二日目のロングでは、M60Aのデビュー戦。「絶対に負けられない闘い」で、前日のM21A寄りも遙かに緊張しました。初歩的なミスをしたものの、初戦を飾る!ことができました。地元企業の協賛による干物をいただきましたが、格別の味でした。
今月はOMMの運営、オリエンテーリングin朝霧と大きな運営が続きます。その合間を縫って西東京ロゲイニングでは若い選手と一緒に走るのを楽しみにしています。皆さんも、絶好のシーズンをお楽しみください!
当法人は、ナヴィゲーションスポーツの普及やアウトドアの安全のために、イベント、講習会の開催や大会への技術サポートを行っています。本年度は、具体的には以下の行事を開催、協力していきます。また、村越が関係する他団体の行事も掲載しました。
下記のうち、①有度山トレイル三昧、④ナヴィゲーション・フェスタ、⑤オリエンテーリングin朝霧(朝霧野外活動センター主催)ではお手伝いいただけるスタッフの方を募集しています。
①は特にスキル・知識は問いません。
④⑤ではオリエンテーリング経験のある方を募集しています。
また、お手伝いではなく、運営や指導の勉強をしたい方も実費での参加を歓迎するイベントもあります。お問い合わせください。
2021年度から、日本オリエンテーリング協会では、日本スポーツ協会(旧日本体育協会)と協働で、コーチ資格の整備をスタートしました。これまでにも指導員制度はあったものの、オリエンテーリングが日本に根付く過程で整備されたもので、野外活動のプログラムづくりを担う指導者としての資格でした。
現在、オリエンテーリングはその競技性を増し、大学生をはじめとした競技力の向上は目を見張るものがあります。その一方で、技術指導を体系的に行うことができるコーチは不足しています。また、最近ではコーチによる体罰や不適切な指導もスポーツ界では問題とされています。オリエンテーリングでは同種の問題は発生していませんが、今後も選手が安心して高いレベルの指導を受けられる環境を維持することが必要です。このような理由から、日本オリエンテーリング協会では、コーチ制度をスタートさせることとなりました。
私自身も、2019年度から、資格を取るために受講してきました。オリエンテーリングの専門知識と技術を学ぶ研修はもちろん問題ありません。一方、スポーツ協会との協働ですので、種目によらない共通科目があります。この受講には苦労しました。まず、なかなか日程が合わない。その年度の予定が発表になるのは概ね初夏ですが、そんな時にはハイシーズンはもう予定で埋まっています。なんとか今年受講することができましたが、それも香港でのアジアジュニアユースのイベントアドバイスの日程を変更してもらっての滑り込みセーフでの受講でした。
研修の厳しさも聞いていました。初年度に2020年はおりしもコロナ禍で、オンラインでの研修会となったそうですが、100人近い受講者が集まり、彼らがブレークアウトルームで5名程度のグループになり、分刻みのディスカッションやロールプレイを次々と繰り返し、その振り返りに積極的な発言が期待される。しかも、事前に400p近いテキストを読み込んで試験にパスしておかないと、受講も許されない。
実はこの過酷さが楽しみでもありましたので、近隣では対面の講習も用意されていたのですが、オンライン講習を受講しました。さすがに直前10日ほどは多大な時間を予習や自分自身のコーチとしての振り返りに使いました。連休に予定していたオリエンテーリング大会をキャンセルしたほどでした。体育系の大学院を出た私にとっては、テキストでの学習は、むしろ「本質は、30年前とあまり変わっていない」ことを気づくいいチャンスでもありました。
講習は10月14・15の二日間、朝から夕方までひたすらオンラインの研修。今回はスケート連盟から多くの参加者があり、ほとんどのグループは3人がスケート連盟、もう一人がスポーツプログラマー、もう一人がその他のスポーツという構成でした。私のグループもそうでしたが、3人がフィギュア、スピード、ショートトラックと分かれており、同じスケートでも随分性質が違うのだと気づけたことも収穫でした。
オンライン研修慣れしていない受講者にとっては大変だったと思います。分刻みでブレークアウトルームに移り、司会やロールプレイの役を交代する。議論の方向が本旨から外れると、すかさずファシリテーターからチェックが入る。一方で、うまくできない参加者をもり立てたり、サポートすることも、実はコーチとして重要な資質。講習にはそんな狙いもあったかもしれません。
集まってくるコーチの方もそれなりのレベルでした。ほぼ毎日のように地域で小さい子どもを教えているフィギュアの方。主婦でもありながら、家族にも協力してもらい夕食時にかかるような時間帯に週何日かコーチをしている方、あるいは高校を出たばっかりの若者。多くの方は中年以降ですが、ウェブで検索してみると、むかし国体で優勝経験のある方などもいました。普段出会わない人と出会うことができたのも魅力の一つでした。私も、他の人にはちゃんとチェックされていました。
この研修、実は今も続いています。事後の宿題があるのです。1ヶ月間、自分のコーチングについて目標設定をして、取り組み、それを記録・分析するというものです。もちろん現場を持っていない人もいるので、シミュレーションでもいいのです。しかし、せっかくの機会。私も今は現場を持っていないものの、オリエンテーリングなら、声をかければ手伝ってくれる選手はいるだろう。しかし、それは楽しいだろうか?散々悩んだ末、ハンドボールの女の子を対象とすることにしました。
実は3年前から、アジリティーのトレーニングの一環として、大学の女子ハンド部に週1回参加させてもらっています。現在本学の女子ハンド部は部員が3名。うち1名が大学から始めた初心者女子。もちろんそれでも半年ハンドを経験した大学生に私が具体的に教えられるものはありません。しかし、オリエンテーリングで学んだ「強くなるための考え方」であれば、伝えることができるでしょう。教えるよりも導くことを重視する現在のコーチング論からすれば、それこそがコーチの役割のはず。何より、今後世界を狙う選手のコーチに携わるとしたら、自分ができなかったこと、知らなかったレベルの選手をサポートすることになります。そう思えば、自分の技術力を超える選手をコーチングすることこそ、またとない勉強になるはずだ。
顧問の先生に許可をとり、さらに上級生二人に相談し、OKをもらい、本人にも打診したところ、突然の打診にもかかわらず、その学生は快くOKしてくれました。二重の意味で、啐啄一如とはこういうことなのでしょう。
十分に知識も技術もないスポーツでどのようにコーチングをするか。その詳細を書くにはブログは十分なメディアではありませんが、うまくなるための考え方、技術への注目の仕方や振り返り方について考える習慣を持つことを核にして、現在も継続中です。一ヶ月の実習期間が終わった後、彼女からどんな評価が得られるのか。楽しみでもあり、怖くもあるこの頃です。