【M-nop letter+】2023年12月号

■ご挨拶■

あっという間に年の暮れも迫ってきました。師走とはよくいいますが、私は一年中走ってる感じです。特に年の後半は、日替わり定食のように次々と故障していた体も少しづつ回復し、オリエンテーリングにロゲイニングに活動的になれた年でした。

 

11月4・5日に千葉県勝浦市で行われた全日本ミドル・ロングでは、5日のロングでM60のデビュー戦を果たしました。全日本のM21で上位に入り、エリートに出場する夢は失ってはいません。実際、ミドルはM21に出場し、ルートミスの自覚もある中で17位でしたので、まだまだ上位は狙えるという実感は得たものの、ロングの地図の縮尺1:15000はいかんともしがたい。しかも微地形の発達した勝浦。それがロングでのM60のデビュー戦につながりました。

 

M60だからといって決して楽勝ではありません。努力がそのまま順位につながるM21と違い、M60では当然「結果」が求められる。その分、M60の方がプレッシャーがかかります。2つの中程度のミスをしたものの、最後まで諦めずに走った結果が20秒差の1位。この歳にして改めて、諦めずに走ることの大事さを痛感したレースとなりました。 

参加者を悩ました勝浦のテレイン
参加者を悩ました勝浦のテレイン

 

19日には、西東京ロゲに参加。パートナーに誘った女子選手に「上位を狙いにいくのと、ナヴィゲーションを楽しむのとどちらがいい?」と聞くと、後者を選んだので、「勝手に古地図」参戦。さすがに初めての古地図では、インカレで優勝する実力のある彼女も、十分な切れ味を発揮できませんでしたが、CPそばでの「目のよさ」には驚きました。他の選手と一緒にナヴィゲーションをし、その特徴を直に見ることができるのも、ナヴィゲーション・スポーツの楽しさだと感じた次第です。

若い女子選手とロゲイニングに参加。使ったのは古地図。最初は戸惑っていた彼女も、その分、歩測やコンパスワークの重要性を改めて感じたようでした。
若い女子選手とロゲイニングに参加。使ったのは古地図。最初は戸惑っていた彼女も、その分、歩測やコンパスワークの重要性を改めて感じたようでした。
コース途中にあったブラックジャックの銅像。手塚治虫氏が晩年東久留米市に住んでいたことが縁で、東久留米南口に設置されている。
コース途中にあったブラックジャックの銅像。手塚治虫氏が晩年東久留米市に住んでいたことが縁で、東久留米南口に設置されている。

 

こうしたイベント参加の合間を縫って、11月25日には、大学のスポーツ系の教員とともに地域の子どもにナヴィゲーション体験をしてもらうイベントを近隣の小学校で実施しました。多いとはいいがいたい参加者でしたが、参加してくれた子どもの多くがラビリンスOに何度も何度も挑戦する姿が印象的でしたし、喜びでした。

校庭で幾何学的図形のような「コース」と「地図」でナヴィゲーションを楽しむ子どもたち。「やった!」といってゴールする姿に、スポーツの根源的楽しさを感じました。
校庭で幾何学的図形のような「コース」と「地図」でナヴィゲーションを楽しむ子どもたち。「やった!」といってゴールする姿に、スポーツの根源的楽しさを感じました。

 

Mnopの各種イベントでも、引き続き、ナヴィゲーションの多様な楽しさを提供してまいります。

■現在・今後の活動■

当法人は、ナヴィゲーションスポーツの普及やアウトドアの安全のために、イベント、講習会の開催や大会への技術サポートを行っています。今後は、以下の行事を開催、協力していきます。また、村越が関係する他団体の行事も掲載しました。

 

下記のうち、①有度山トレイル三昧、ではお手伝いいただけるスタッフの方を募集しています。特にスキル・知識は問いません。

 また、お手伝いではなく、運営や指導の勉強をしたい方も実費での参加を歓迎するイベントもあります。お問い合わせください。

【主催事業】

  • 【①】有度山トレイル三昧
    トレイルランニング(静岡市清水区、2024年1月27日)
    ロゲイニング(静岡市駿河区、2024年1月28日)
    当法人のフラッグシップイベントです!ロゲイニングは大きくエリアを変えて、安倍川の西岸が7割程度を占めます。テーマは「道」。特に古から現代に至る東海道にフィーチャーします。トレラン、ロゲともにまだ定員には余裕があります。運営協力者も募集中!
    https://www.m-nop.com/rogaining/udoyama/2024/

【他団体による主催(協力・村越の講師参加等)】

  • 【②】Shin Murakoshi: 50 years with Orienteering
    村越のオリエンテーリング生活50周年を記念したオンライントーク、12/6ですでに2回が終了しました(9/22の様子は、以下のYoutubeでもご覧いただけます)。
    (次回は2月上旬の予定:コーチングの魅力:教えることの難しさと魅力をお伝えします)
  • 【③】Shin Murakoshi: 50 years with Orienteering
    古地図ナヴィゲーションツアー等今後、3イベントを企画しています。
    2024年3月16日:小手指~東村山を、古地図で巡る。
    2024年4月29日:東京城南地区での古地図スコアイベント。
    2024年9月:飯能でのマウンテンオリエンテーリング。
    詳しくは、TEAM阿闍梨サイト: https://www.teamajari.com/event/shinmurakoshi50/

  • 【④】野外教育指導者養成講習会(2024年1月10~12日)【受付中】
    (県立朝霧野外活動センター主催事業)
    野外活動を安全に楽しく実施するための「ナヴィゲーション」と「リスクマネジメント」を、「体験的な学び」をとおして理解し、実践力を身につけます。村越がナヴィゲーション部門の講師を務めます。リスクマネジメントも、日本を代表する研究者中村正雄さんによるもので、こちらも価値ある講習です。県営施設の主催行事のため、参加費も魅力。
    https://asagiri-camping.sakura.ne.jp/syusai/yakyoushi/

■最近の活動から■

【日本地図学会「ナヴィゲーションの実践知を探る」】

東京の立正大学で、日本地図学会の例会「読図とナヴィゲーションの実践知を探る」が、12月2日に開催されました。一昨年から同学会に設立されたナビゲーション部会の主催する例会で、その名の通り読図やナヴィゲーションの「現場の知恵」を探ろうというものです。

 

当日は、オリエンテーリングのトップ選手である小牧弘季選手、稲毛日菜子選手、ロゲイニングの帝王の異名をとる柳下大選手をゲストスピーカーにお越しいただき、ナヴィゲーションをしている時の「脳内解剖」を試みました。午前中には、余興として提供した古地図によるナヴィゲーションを小牧選手、稲毛選手も回ってくれ、参加者と一緒に具体的なコース攻略を踏まえて、ナヴィゲーションや読図の考え方を紹介してくれました。

 

議論の中で興味深かったのは、地図記号を知り、そこから必要な情報を読み取ることが重要であることは言うまでもありませんが、加えて、地図の情報の信頼性、自分の行動がどの程度うまくいくかといった事を敏感に感じ、それに対応していることが、実践知の重要な核となっていることでした。

 

実はこの研究会、関東のスプリント選考会を静大で行った際に、出場した慶応大学のK選手が、「ナヴィゲーションがうまくなる研究ってないんですか?」と聞かれて、「確かにオリエンテーリングを対象とした研究はいくつかしてきたけれど、実力に直結する研究はしてこなかった」と大いに反省していた時に、地図学会の例会の企画が持ち上がり、瞬間的に閃いたものでした。

 

この例会とその準備を通して、30年来考えていたことを改めて考え直す機会となりましたし、理屈の面からナヴィゲーションや読図を考え直してみることも読図の楽しさの一つだと再認識させてもらいました。近いうちに、Mnopの会員の皆さんにも、この研究会の余録をお伝えできればと考えています。

地図学会例会で、全日本ロングで何を考えながら走ったかを解説する稲毛選手。
地図学会例会で、全日本ロングで何を考えながら走ったかを解説する稲毛選手。

NPO法人Map, Navigation and Orienteering Promotion

 オリエンテーリング世界選手権の日本代表経験者、アウトドア関係者らが、アウトドア活動に欠かせない地図・ナヴィゲーション技術の普及、アウトドアの安全のために設立したNPO法人です。

活動をサポートして下さる方を募集しています

2015年3月のシンポジウムのプログラムと村越の発表資料を掲載しております。

初心者に最適なコンパス、マイクロレーサー